リップライン
Key points
- 患者の唇の形態および動きは、最も重要な審美的決定要因です。
- 最適な審美的治療成果には、唇の形態、歯の配置、デザインの間での調和が必要です。
- 歯茎を露出する大きな笑顔は、前歯部の修復において技術的、審美的に難易度が高くなります。
唇と歯の調和
最適な審美的治療結果には、唇の形態と歯の配置との間の調和が必要です。唇は前歯の額縁となり歯を支えますが、口の大きさと唇の輪郭は遺伝的に決定される固有の構造に依存し、加齢に伴う皮膚の変化に影響を受けます。患者の唇の形態および動きに関する診査は、診断の最重要要件です。リップラインは、上唇の下縁が引き上げられ機能高さが最大になるときを上(high)とし、安静時の上唇下縁の最下方位置または下唇上縁の機能高さが最も低くなるときを下(low)と判断します。
リップラインはすべて、以下の要素の影響を受けます。
- 唇の形状-厚い、薄い、中間
- 口裂の面積および特質-幅、唇の垂直方向分離
- 目に見える歯および健康な歯肉組織
リップラインと修復に関する注意事項
リップラインは、上唇下縁の垂直位置と定義されます。笑っている時のリップライン(スマイルライン)を評価することが重要です。作り笑いをしている時の上唇の最大高さ(maximum upper lip elevation)も評価する必要があります。笑いが広がるにつれ、歯が露出します。笑っている時は、唇が静止している時よりも、口の幅が1/4から1/3広がります。一般に、リップラインはハイスマイル、アベレージスマイル、ロースマイルに分類されます。リップラインが高くなれば高くなるほど、満足できる審美性を実現するための課題が多くなります。
若い患者は高齢患者に比べ、上顎歯構造を示すことが多く、それが今日の文化的な審美基準となっています。より大きな笑顔は、水平被蓋、過蓋咬合を隠さないため、「ガミースマイル」と見なされることがあり、歯茎を大きく露出します。そして、外傷または過去の外科的介入による残遺歯槽堤の吸収が見えている時などに前歯の修復を管理する際、技術的、審美的課題をもたらします。他方、動きが限定的な、より小さな口および長い上唇は、額縁の露出がわずかであるため治療する際の課題がより少なくなります。